今回はいつもの整備事例とはちょっと違う感じのブログになります。
北東北には当社も所属している「 メカトロクラブみちのく 」という会があります。
メカトロクラブみちのく東北にはもう一つ南東北の「 メカトロクラブ仙台 」という会もあります。
メカトロクラブ仙台どちらも「 テクノ1宣言 」を会の基本精神として、お互い仲良く共に切磋琢磨しています。
メカトロクラブとはなんで唐突にこんな話をしたかと言うと、2月の定例会でやった「 異音と振動 」の勉強会が予想外に好評だったからです (笑)
前述の「 テクノ1宣言 」にもあるように、私達は技術革新に挑戦しています。
その中の一つとして、如何にして診断の精度と時間効率を上げたいということがあります。
異音や振動の故障診断って意外と大変じゃないですか? 得意だと言う人にあまり出会ったことがありません (笑)
定例会で使用するために、中身はお見せできませんがこんな感じで資料もちゃんと作りました。
資料の内容も座学でやりましたが、ウケが良かったのは会員の持ち込んだ車両での異音の実車測定でした。
駆動系などはなかなか異音の発生場所の特定が難しいのですが、センサとオシロスコープを組み合わせると一目瞭然です。
こんな感じで従来だと感覚に頼りがちな異音を「 見える化 」できます。
ケースバイケースですが、周波数から計算していって原因を絞り込むことも可能だと思います。
この辺りのことはこのブログの過去記事にもアップしてあります。
ソリオバンデット ハンドルが振動する オシロスコープ活用法 オシロスコープ活用法 2センサと言っても専用のものではなく、当社ではこんなものを使っています。
もう少し異音や振動の測定に特化したセンサがあったら良いとは思いますが、そこはその道のプロの方に期待します。
カイセさん、フリークさんどうですか? 村上さんと野間さんに期待しています (笑)
また、異音ではないですがこんな使い方もアリかと思います。
これはエンジン警告灯が点灯したと入庫したプジョー・3008
フォルトコードチェックやライブデータを確認したところ、どうやらアドブルーインジェクターが怪しい感じ。
制御回路テストでアドブルーインジェクターを強制駆動させても作動音が聞こえません。
コントロールユニットなのかインジェクターなのかを切り分けるために、インジェクターにオシロスコープを繋ぎます。
CH1 (青) はインジェクター駆動電圧を、CH2 (赤) はセンサに繋いでインジェクター作動時の振動を拾います。
CH1 (青) に駆動電圧がかかって、CH2 (赤) に電圧 (振動) が出なければインジェクターの不良です。
CH1 (青) に駆動電圧がかからず、CH2 (赤) にも電圧 (振動) が出なければコントロールユニットまたは配線の不良です。
残念ながらその後は何度テストしてもちゃんと作動音がするので両方共に正常な波形しか出てきませんでした。
ちなみにこの3008はお客様には経緯を説明して現在経過観察中です。
きちんと「 見える化 」できていれば説明も伝わりやすいし、信憑性もあるかと思います。
こんな感じで今手元にあるものでも知恵とノウハウがあれば新しい診断の仕方も可能かと思います。
これこそが「 テクノ1宣言 」の神髄ではないでしょうか? そして、これはお客様のためになっていると信じています。
最近各地でいろいろな会が結成されているとの話を耳にしますが、業界にとっては良いことだと思います。
昨今世の中を騒がせている騙しのような仕事で儲けるのではなく、きちんとした仕事をしてその対価として適正な料金を頂戴する。
手間がかかっている分金額的には高くなるかと思いますが、あくまでも適正な料金です。
資料を買って、設備投資をして、勉強して、その結果お客様へ良質なサービスとして提供しています。
お客様にはその辺のことをご理解いただきたいと思います。
十数年前メカトロクラブみちのくに出会った時に、当時の会長に言われて今でも私のベースになっている言葉です。
「 全ての物には理由がある。 常にその理由を考える癖をつけたら良いよ! 」
「 一人でできることなんかたかが知れているから良い仲間を作った方が良い。 そして、ここにはそんな仲間が居るから! 」
どうですか、名言だと思いませんか?
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- 2024/03/07(木) 22:28:46|
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今年も残すところあと数日となりましたが、工場内で年越しをする車も数台と最後までバタバタと慌ただしい日々です。
本年も皆様にお世話になりながら、なんとか無事に年を越せそうです。
整備士の矜持を胸に一生懸命自動車整備に邁進いたしますので、来年も変わらぬご愛顧のほどをよろしくお願いいたします。
プジョー・308 (T9) の「 P02CD 」・「 P02D3 」が消去できない件の続きとなります。
このディーゼルエンジンはボッシュの「 EDC17C60 」と言うシステムです。
燃料噴射量の補正が上手いこといっていないようなので、まずはライブデータを診ていきます。
インジェクターの補正はこんなデータしか見当たらないですが、これで良否の判定は到底できそうにありません。
一見バラツキはあるように見えますが、もともとインジェクターコードの打ち込みが必要なので許容の範囲内かと思われます。
あっ、ちなみにこの車はミッション側がNo1シリンダーです。 こんなところもフランス車っぽいですね。 (笑)
ライブデータでは判断できないので、実際の噴射波形をオシロスコープで取ってみます。
青 (CH1) がNo4シリンダー、赤 (CH2) がNo2シリンダーです。 パッと見たところ特に怪しい様子も見受けられません。
ちょっと見ずらいので時間軸を短くして、波形を拡大してみます。
なんか波形が2種類あり、交互に変化を繰り返してます。 もしかして同位相で多段噴射?
No2シリンダーに付けていたCH2をNo1シリンダーに付け替えて、同位相同士の噴射波形を取ってみます。
やっぱり多段噴射で同期していて、おそらく圧縮行程中と排気行程中に噴射しているようです。
噴射波形も2種類だったのも納得です。
と言うことは、ひょっとしたらNo1シリンダーとNo4シリンダーの両方ではなく、どちらか一方の不具合の可能性も出てきました。
半分の気筒が不良だったら何かしらの症状があるだろうと疑問でしたが、走行テストで特に異常を感じなかったことも納得です。
一度噴射量の補正値もリセットしてみたいので診断機にていろいろ探しますが、それらしいものは全くありません。
何かないかなと思ってたところ、良さそうな項目を発見しました。
早速この燃焼クォリティのテストを行ってみます。
前提条件で電装品のスイッチOFFとかいろいろあるので、条件を整えてからテスト開始です。 すると・・・
No4シリンダーの燃焼に不具合が! あっ、多少の文字化けはご愛敬です (笑)
No1シリンダーは不具合判定されていないので、同位相のNo4シリンダーに引っ張られたのでしょうね。
これでNo4シリンダーの燃焼 (インジェクター) のトラブルが確定しました。
だったら最初のインジェクターのフロー補正にもう少しヒントがあっても良さそうなんですが・・・
ただ、この辺りはプログラムによる各メーカーの味付け次第なんで文句を言っても仕方ありません。
おそらく走行距離数とシステムから考えてもインジェクターのつまりが濃厚だと思われます。
1本数万円のインジェクターと交換の技術料金を考えて、お客様にはシステムの洗浄の提案もいたしました。
お客様が今回は洗浄してみるということで、今回はインジェクター交換ではなく洗浄作業を行うことになりました。
ここで当ブログにも何度か登場している、ドイツ・LIQUIMOLYのJetClean Tronic Ⅱの出番です!
ディーゼルエンジンのため燃料ラインの接続に少し手間取りましたが、無事に作業完了です。
短いですが、実際の作業中が様子はこちらです。
https://youtu.be/SLzXbOSZdok作業完了後に改めて燃焼クォリティのテストを行います。
今度は問題なさそうです。
早速フォルトコードを削除して・・・ やはり「 P02CD 」・「 P02D3 」が消えません。
そうしてみれば冷間時と暖機後は噴射回数や噴射時間が違ってたよなぁ・・・って考えながら、遅くなったので翌日に持ち越しです。
きっとまだ消去のために必要な条件が揃っていないのでしょうね。
翌日朝一の冷間時からでエンジンを始動し、水温が上がるまで暖機運転をします。
これで推測した条件は整ったはずと祈りつつフォルトコードを消去して・・・ 今度は見事に消去できました!
再度ライブデータを診ますが、やはりそこまでの変化は見受けられません。
きっとライブデータには現れない内部で、何かしらの閾値や判断基準を持っているのでしょうね。
マニュアルがには詳細な記載があるのでしょうか?
内部の閾値や判断基準、その他諸々の条件は我々だと推測していく以外方法はないのかもしれません。
消えなかったフォルトコードも消えたので、再度走行テストです。
今度は停車時にecoランプが点灯してアイドルストップするようになりました。
症状の再現できなかった登坂時の微振動はお客様に経過観察していただくことで作業完了です。
このJetClean Tronic Ⅱはなかなかの優れものだと思います。
ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン問わずに直噴エンジンは構造上どうしても汚れが付着してインジェクターがつまってきます。
今までだと高価なインジェクターを交換するか、脱着して洗浄するかしか選択肢がありませんでした。
でも、このJetClean Tronic Ⅱだとインジェクターを脱着せずに洗浄可能なのでコストパフォーマンスも良いと思います。
全部が全部これで直るわけではありませんが、興味がある方は是非お問い合わせください!
あっ、ちなみにLIQUIMOLYの回し者ではありませんので誤解のないように! (笑)
- 2023/12/28(木) 08:26:22|
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10年に一度の大寒波到来と言う話ですが、本当にここのところ寒い日が続いています。
昨日今日は降雪量も多く、朝晩2回の雪かきが日課です。
年末に同じく10年に一度の暖かい日が続くとのことですので、雪のない暖かな年末年始が過ごせたらいいなと思います。
プジョー・308 (T9) がアイドルストップしないなど諸々の依頼事項で入庫です。
この308はお客様が半年くらい前に他店で中古で購入したのですが、使ってみて気になる点が多々あるとのことで入庫となりました。
まずはシステムチェックを行います。
複数のコントロールユニットに多数のフォルトコードがストアされていました。
エンジンマネージメントの「 P02CD 」と「 P02D3 」、ギヤボックスの「 U1208 」はちょっと嫌な予感がします。
アイドルストップしないとのことなので走行テストを行うと、ecoランプが数度点滅するだけで全くアイドルストップしません。
おそらくアイドルストップの条件を満たしていない何かがありそうです。
まずはバッテリーの点検から始めます。
どうやらバッテリーは一度交換されているようで、バッテリーテスターで測定すると充電量は約80%ありバッテリーは良好です。
ただ、診断機でライブデータを診ると充電量は23%です。
アイドルストップの条件にバッテリーの充電量は75%以上とあるので、これではアイドルストップの条件を満たしていません。
バッテリーの交換履歴があることから、おそらくただバッテリーの交換だけをしてコーディングはしていないのでしょうね。
最近の車 (特に輸入車) はバッテリーだけではなく、部品交換後などにコーディングなどの設定作業が必要なものが多いです。
もう最近の車は知識やテスターがないと部品交換すらできないことが多いので要注意です。
印象としてはユーザーのDIYもそうですが、整備工場ですらきちんと対応ができないところも多くなってきている気がします。
本来であれば交換してコーディングとなるのですが、今回はバッテリーのコーディングだけを行います。
バッテリーのコーディング後はバッテリーは同じ状態でも充電量が78%まで増えました。
充電量が条件を満たしたので、アイドルストップするのかどうか再度走行テストを行いますが、症状は全く変わりませんでした。
どうやら嫌な予感が的中したみたいです。
実はいくつかある依頼事項の中に、長く緩い登坂時に車に微振動が出るというのもありました。
問診するとどうやらエンジン出力とミッションのギヤ比が合わずにカーノックしていると推測されます。
症状の再現性は月に一度あるかないか程度なので、通常の走行テストでは全く症状の再現はできませんでした。
この辺の原因も「 P02CD 」と「 P02D3 」にありそうです。
とりあえずフォルトコードの消去を試みますが、表題通り「 P02CD 」と「 P02D3 」、「 U1208 」は消去できません。
ちなみにこの車はエンジン及びギヤボックスのフォルトコードの消去は電子キーをこんな感じでスロットルに入れる必要があります。
まあこれをしても3個のフォルトコードは全く消えないのですが・・・
久しぶりに長くなりそうなので (その2) へ続く
- 2023/12/23(土) 13:33:46|
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ついこの前までは猛暑で暑い暑いと言っていたのが、寒くなり雪が降りだし、あっという間の師走です!
今年もお陰様で忙しい日々を過ごすことができました。
来年も忙しい日々を過ごせたら良いと思いつつ、疲労回復や体力アップを真面目に考えようと思います。 (笑)
ニッサン・エクストレイル (NT31) が走行中に急に力がなくなったとのことで入庫です。
アイドリング状態で確認するとエンジンは多少バラついているもののそこまでの不調は感じられません。
エンジン警告灯も点灯していないので、まずは症状確認のため走行テストを行います。
走行テストを行うと確かに力がなく、なんだか1気筒失火しているような感じです。
エンジン警告灯は点灯していませんが、まずはフォルトコードの確認です。
やはり失火で、今回はNo1シリンダーが失火しているようです。
失火と言っても必ずしもプラグやコイルの点火系が悪いわけではないので、失火原因を検査で探していきます。
排気ガステスターで排気ガス値を点検すると、やはり異常が見受けられます。
排気ガスはCOが高く、CO2が低い。 また、O2も3%後半なので余剰酸素があり希薄な状態なのがわかります。
唯一正常と言える数値はHCくらいでしょうか。
このMR20DEエンジンは、プラグやイグニッションコイルがインテークマニホールドの下なので簡単にクロスチェックができません。
なので、イグニッションアナライザーでNo1だけ点火波形を診てみます。
やはり希薄な様です。
排気ガス値と点火波形から、どうやらNo1の燃料系のトラブルかと思われます。
失火を検知してインジェクターが停止している可能性もあるし、インジェクターの状態も診たいのでオシロスコープを接続します。
青 (CH1) がNo1で、赤 (CH2) がNo4です。
失火検知していてもインジェクターの作動は止めないようですし、波形からはインジェクターは正常に動いているものと思われます。
このインジェクターの駆動波形で、ピンポイントでNo1のインジェクターだけ不良なのは考えにくいです。
となると、面倒でも点火系のクロスチェックをする方が良いと思われます。
No1とNo4のイグニッションコイルを入れ替えたところ、失火箇所もNo4に移行しました。
結果としてイグニッションコイルの不良が原因でした。
イグニッションコイルは全数同時交換が基本ですので、その旨をお客様に説明して了承をいただきます。
インテークマニホールド、EGRパイプ、スロットルボディなどを外し、やっとコイルとご対面です。
イグニッションコイル交換後は点火波形もきれいになり、排気ガス値も正常値に近くなりました。
また、フォルトが記憶されることもなく、アイドリングでのエンジンの振れもなくなりました。
ちなみに、修理前はアイドリングが約70rpmの幅で振れていました。
修理後はアイドリングの振れ幅も約10rpmと問題ない値になりました。
完成検査を行い、症状が改善され他にも特に問題がないことが確認できたので作業完了となりました。
ここで今回初めて知ったことが・・・
パワーバランステストを行っている時はインジェクターを停止させるものだとばかり思っていました。
でも、このエンジンはメチャメチャ噴射時間を短くしてほぼ無噴射にしていました。
何故こんな制御をするのかは不明です。 知っている方が居たら是非教えてください!
また、点火系のトラブルで生ガスが排出されていると推測されるのにHC値が増えない件についても教えていただけると幸いです。
今回はいろいろと勉強になった一件でした!
- 2023/12/04(月) 14:34:24|
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今年の夏はメチャメチャ暑かったですね。 青森でも9月いっぱいは20℃を超える毎日でした。
今年は秋が遅いと言っていたら、10月に入ってとたん秋と言うより冬の寒さです。
津軽のシンボル岩木山にも平均より1週間早く雪が降ったそうです。
今までこんなに長いことブログを更新しなかったことはないのですが、約3ヶ月ぶりのブログ更新です。
楽しみにされている方も極少数いらっしゃるみたいなので、忙しいことを理由にせずに今後はなるべく更新しようと思います。
今回はちょっとだけいつもと違う感じでブログを書いてみたいと思います。
と言うのも、某大手中古車販売店の問題に端を発して、自動車業界自体の「 信頼 」が大きく揺らいでいるからです。
ここからはタイトルにもあるようにあくまでも「 私見 」ですので、業界と言うよりも私の意見です。
まずは某大手中古車販売店で起こったいろいろな問題ですが、これは行った行為は間違いなく良くないことだと思います。
個別の案件に関しては詳細がわからないので発言しませんが、お客様を騙すようなことは言語道断だと思います。
ただ、詳細がわからないことに関して多方面で発言されている方々もいらっしゃいますが、これもどうかと思います。
特に車検や整備の料金などについて、部外者が傍から高いとかおかしいとか言うこと自体がナンセンスです。
料金に関してはお客様と整備工場の間の契約です。
もしも不明な点や不安な点があれば、お客様が整備工場に説明を求めてその説明に納得できるかどうかだと思います。
自動車業界に身を置いて思うのは、「 言葉(表面) 」と「 内容(中身) 」といものは傍からは判断できないということです。
例えば「 車検 」が1万円と謡っている工場と3万円と謡っている工場があったとして、1万円が良心的で3万円は高いのでしょうか?
一般的には自家用乗用車のいわゆる車検は2年定期点検で、点検項目数は下記のアドレスにもあるように57項目です。
国土交通省 自動車の点検整備これは最低限の安全と安心を担保するために必要な点検項目で、これで全ての安全と安心が担保されるわけではありません。
当社では「 車検 」は60点取れれば合格するテストのようなものです!とお客様には説明しています。
100点満点のテストの60点以上が合格で、あとはどれだけ高得点を目指すかはお客様と整備する側の話し合いだと思っています。
ちなみに当社だと基本70点を目指すような点検と、機能維持のための整備のお勧めをさせていただいております。
なので、料金だけを比較すると他社に比較して高くなりがちですが、内容を考えると適正価格若しくは少し安いと思っています。
また一般整備においても全く同じで、請求書に掛かれた項目( 表面) と作業内容( 中身 )は傍からはわかりにくいと思います。
例えばメーター内にブレーキ関係の警告灯が多数点灯しているこの車。
システムチェックを行い、ブレーキ関係のフォルトコードはこんな感じです。
これを見ると多くの人は右リヤのスピードセンサの不具合だと思うでしょう?
実際にこの車も右リヤスピードセンサの交換をして完治しました。
でも、フォルトコードを確認しただけで、約2万円の部品代がかかるスピードセンサをいきなり交換しても良いのでしょうか?
配線、コントロールユニットは問題ないと言い切れるのでしょうか?
当社だとなるべくピンポイントで不良個所を見つけたいので、ここから検査していきます。
入庫時は確かに右リヤスピードセンサからの車速信号の入力がありません。
ある方法で右リヤと左リヤのスピードセンサの入力を変えてあげると、信号の入力のない箇所が左リヤに移りました。
こうすることでセンサまたはハブ側のエンコーダーの不具合が確定します。
結果としては同じ右リヤスピードセンサの交換ですが、検査している内容がフォルトコードをただ読んだだけの交換とは異なります。
少なくても交換したけれども直らないということは防げます。 これが当社の売りである「 ひと手間を惜しまない 」です!
もちろんこの作業には検査料金がかかりますので、金額的にはただ交換するよりは高くなります。
また、他店でヘッドライトを社外品に交換された車がありましたが、その配線がこちらです。
エンジンルーム内を赤い後付けの電源線が走っているのがおわかりでしょうか?
万が一回路に過電流が流れた時に回路を遮断するのがヒューズの役割ですが、ヒューズはここ (赤丸) にありました。
サーキットテスターの表示からも、常時電圧がかかっているのがわかるかと思います。
これだとヒューズは全く意味がありませんね。 もしもエンジンルーム内で配線がショートしたら車が燃えます。
この後付け配線を引いた作業料金がいくらだったかはお客様に聞いていないのでわかりません。
仮にこの作業が1万円だったとして、当社で純正中古品のライトに戻して配線を修理した作業料金が2.5万円だったとします。
ちなみに配線はギボシやエレクトロタッブの接続ではなく、ハンダスリーブにて接続し絶縁テープで表面処理もしました。
これでも2.5万円より1万円の方が料金が安いのでお得でしょうか?
こうしてみると高いか安いかは言葉 (表面) だけでは高いか安いかの判断できないことがわかっていただけるかと思います。
大事なことなので二度言います。 整備に関しては高いか安いかを言葉 (表面) だけでは絶対に判断できません!
ただ当社のやり方が絶対なわけでもないので、そこはお客様が自分のニーズに合わせて整備工場をお選びください。
各々の整備工場ごとにやり方や考え方は千差万別ですから。
でも、中身がわからないのによそを高いとか批判だけはしないでくださいね (笑)
- 2023/10/09(月) 12:22:05|
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