この前まで「 暑い、暑い 」と言っていましたが、すっかり秋の気配で朝晩は涼しくなってきました。
もう少ししたら、「 今年の冬はどうだろう? 今年は雪が多いのかな? 」と冬の話題がメインになりそうです。
今はできればコロナが早く収束して、あの人やこの人にお会いしたいと思っています!
平成6年式ランドクルーザー・プラドがエンジン警告灯が点灯するとのことで入庫です。
こちらのお客様は弊社のブログ、ホームページをご覧いただいてのお問い合せでした。
症状としては5月~11月くらいの間、10分~30分ほどの走行でエンジン警告灯が点灯するとのことです。
エンジン警告灯が点灯すると走行中は消灯することはなく、信号待ちなどでの停車中は黒煙が凄いと。
冬場になると症状は出なくなるらしく、他社にて3シーズンほど診てもらうも改善しないとのことで弊社に入庫しました。
ちょっと手強そうですね!(笑)
診断・検査料がかかる旨を説明して、早速診断を行っていきます。
年式から、今は故障診断に必要不可欠となった診断機が使えません。 地道にアナログ的な作業を行っていきます。
テスト端子を短絡させて、警告灯の点滅でコードを読み取ります。
コード「 14 : 進角制御系統 」と、コード「 32 : 補正抵抗系統 」が記憶されています。
補正抵抗は症状的にあまり関係ないと思われるので、コード「 14 : 進角制御系統 」に的を絞って検査していきます。
進角制御系統のエラー検出条件は
「 水温45℃以上で電源電圧11V以上の噴射時期フィードバック制御中に、噴射時期が7度以上のズレが5秒以上 」
となっています。
走行テストを行うと、お客様の言うようにエンジン警告灯が点灯してすごい黒煙です。
エンジン音もうるさくて、噴射時期が早いようなノッキング音がしています。
とりあえずは進角制御の様子を診るべく、クランクセンサとレボリューションセンサの信号をオシロスコープで測定していきます。

上段のCH1 (青) がクランクセンサ、下段のCH2 (赤) が噴射ポンプのレボリューションセンサの信号になります。
7度以上のズレなので、レボリューションセンサ信号の山がひとつズレたらアウトでしょうね。
この時、エンジン警告灯は消灯していたので、アイドリング状態で放置しておきます。

エンジン警告灯は点灯しませんが、クランクセンサの信号が消失しています。
なんかレボリューションセンサの信号に引っ張られてる感もありますね。

配線図を確認すると、どうやらシールド線が共通しているみたいです。 引っ張られるのはこれが原因でしょうね。
なんだ、クランクセンサが悪いのか! ということで、クランクセンサを交換します。

クランクセンサ交換後に走行テストで問題がないことを確認しようとしたら、10分くらいでエンジン警告灯が点灯しました。
信号待ちでの停車中には、後続車に申し訳ないほどの黒煙が出ています。
すぐさま工場に戻り、再度クランクセンサとレボリューションセンサの信号を確認します。

前に保存していた正常時の波形と重ねてみると、アドリング時でもかなり進角しているのがわかります。
暑い時にダメになることから、コンピューターでしょうか? この年式だとペーパーコンデンサを使っているはずです。
エンジンコントロールユニットを外して、分解して中を覗いてみますが予想外なことにキレイなものです。

ただ、ユニット側面のアルミのヒートシンクにパワートランジスタが付いています。
パワートランジスタがONしないので、タイマーコントロールバルブに駆動電流が流れずに遅角しないのではないのか?
その結果として、噴射時期が最進角状態で固定される・・・ どうやら理にかなっているみたいです。
パワートランジスタに放熱処理を施して、再度走行テストです。
今度は1時間半ほど走行しても、エンジン警告灯の点灯はなく、信号待ちでの停車中に黒煙も出なくなりました。
これにて一件落着! とはならずに、眠れない日々の始まりです・・・
- 2020/09/24(木) 22:59:18|
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シルバーウイーク真っ只中ですが、いかがお過ごしでしょうか?
テレビなどを見ると、ようやく人の流れが出てきたみたいですね! 新しい生活様式もすっかり定着した様です。
私はシルバーウイーク中はチマチマと事務仕事をしております。 あっ、大好きなサウナには行きましたけど(笑)
JEEP・コマンダーがエンジン警告灯が点灯するとのことで入庫です。
お客様に話を聞くと、エンジンがブルブル振れてエンジンストールすることもあるみたいです。
車ののことをかなり知っていらしゃるお客様で、フォルトコードもお客様が確認済みでした。
確認したフォルトコードは「 P0205 : インジェクターNo5回路断線 」とのことでした。
この車はV8エンジン、4.7Lなので1気筒が死んだとしてもスト―ルするのは考えにくいです。
まずはシステムチェックから行っていきます。
お客様の言う通り「 P0205 : インジェクターNo5回路断線 」が記憶されていました。
これはエンジンストールとは別問題だと思われるので、ストールする原因を探していきます。
いろいろパターンでエンジンを運転していくと、アクセルを踏み込んでから離すとそのあとでエンジンが振れてきます。
どうやらエンジンストールの原因は、スロットルとアイドルスピードコントロールバルブの汚れみたいです。
スロットルとアイドルスピードコントロールバルブを清掃して症状は改善されました。
そして、いよいよメインの「 P0205 : インジェクターNo5回路断線 」の検査です。
イグニッションスイッチをOFFすると警告灯が消灯することからも、常時の不具合ではないみたいです。
うまく原因をつかめれば良いのですが・・・
インジェクターとコントロールユニット間にオシロスコープをセットして、インジェクターのNo5とNo7の駆動波形を取ってみます。

見事に不具合時の波形が取れました!
CH1 (青) がNo5,CH2 (赤) がNo7なのですが、CH1が「 0V 」からスタートしています。
でも、サージが起きているのが気になります。 配線図を確認しても、特に変わった回路ではありません。

ただ、「 No5シリンダー失火 」ではなく、「 インジェクターNo5回路断線 」といピンポイントで回路断線を判断しています。
おそらくエンジンコントロールユニット内に断線検出回路があるものと推測されます。
インジェクターの不良との判断して、インジェクターを交換します。

交換後に再度インジェクターの駆動波形を取ってみます。 今度はCH1、CH2共にキレイな波形となりました!

走行テストで問題がないことを確認して作業完了です。
「 フォルトコードが〇〇系統なので、〇〇を交換する 」 よく聞く話です!
今回もフォルトコードの内容で部品交換しても、結果はは同じでした。
でも、そうじゃないことも多々あります。
もしも、高額部品をフォルトコードだけの判断で交換して直らなかったら・・・ その時は誰が責任を負うのでしょうか?
弊社ではお客様から特別の要求がない限り、診断・検査を行い不具合個所の特定を行います。
その代わりに出した診断・検査の結果には責任を持ちますので!
- 2020/09/22(火) 16:55:41|
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ここ数日、メチャメチャ暑い日が続いております! 青森で8月末に35℃なんてここ暫らく覚えがありません。
他の地域では珍しくないかもしれませんが、青森では・・・
「 暑さ寒さも彼岸まで! 」というのはもう死語なんでしょうか?
冬の大雪もイヤですけど、猛暑もイヤです。 常春なところで生活したい!(笑)
BMW・F20のデイライトのコ-ディングです。
今までBMWはE系がメインでしたが、お客様のご要望もあって最近はF系も少しずつですがやっています。

こんな感じのヘッドライトがデイライトコーディングをすることで・・・

こんな感じになります!
デイライトを目立たせるために、少し暗くなってから写真を撮ったら車の色味が変わったのはご愛敬です!(笑)
もちろんその時の気分でデイライトをON/OFFできるように、スイッチも表示するようにコーディングします。

これで日々のドライブが楽しくなってくれたら良いですね。
これ以外にも、F系の球切れチェックのキャンセルコーディングなども対応可能になりました。
大都市圏と違って、青森県内はコーディング可能な整備工場が少ないと思います。
気になるお客様は是非一度お問い合わせしてください。
ただし、弊社の誰もがお問い合わせに対応可能なわけではないので、お時間を頂戴することがあります。
予めご了承ください m(_ _)m
- 2020/08/28(金) 17:28:44|
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毎日毎日、暑い日が続きますね!
普段なかなか現場のメカニックをゆっくり休ませてあげれなかったので、今回は少し長い夏休みをいただいております。
私は相変わらず、長期の休み恒例の伝票整理をやっていますが(笑)
そんな長かった夏休みも残すところあと1日です。 終わってみればメチャメチャ早いですね!
17日 (月) からはまた通常営業に戻ります。
休み明けのご予約もそこそこ頂戴しておりますが、月曜日からまた頑張りますので今しばらくお待ちください。
BMW・320ⅰ (E92) がエンジン警告灯が点滅するとのことで入庫です。
お客様に問診させていただくと、朝一のエンジン始動時にエンジン警告灯が点滅しその後点灯に変わるらしいです。
また、その時はエンジンがブルブルと振れてエンジンの調子も悪いとのことでした。
その後は15分くらい経つと、何事もなかったかのようにエンジンの調子も良くなりエンジン警告灯も消灯するみたいです。
お客様が自走で弊社に入庫しましたがエンジンの調子も良く、一見すると全く問題無いように思えます。
なんかデジャヴュを感じませんか? そう、前々回のE90の記事と症状が似ていますよね。
前々回のE90は6気筒のN53B30Aエンジンでしたが、今回のE92は4気筒のN43B20Aエンジンになります。
気筒数は異なりますが、構造的にはほぼ一緒の直噴システムです。

エンジン警告灯が点いたとのことでしたので、システムチェックを行います。
フォルトコードは「 29CD : DMEミスファイア シリンダー1 」が記憶されていました。
問診の内容や症状から推測するに、今回の失火の原因は燃料系が濃厚です。
一通りの診断・検査を行ったので、あとは翌朝に検査をすることにして準備をしておきます。
翌朝一番にプラグを外して、排気ガステスターで燃焼室内のHC値を測定します。

1番シリンダーのHC値が5000ppmオーバーです! かなりの燃料成分が燃焼室内に存在しているようです。
また、エンジンを始動させると1番シリンダーだけ不正回転値が基準値から大きく外れています。

検査の結果、前回と同じくインジェクターからの後垂れが原因です。
インジェクターは部品代がかなり高価ですので、お客様に診断・検査結果と見積りを提示して相談をします。
相談の結果、お客様から了承をいただいたのでインジェクターを交換します。

こちらが1本5万円オーバーのインジェクターです! 何が悪いのかわかりにくいので新品と比べてみます。

先端の噴射部の汚れた様子がよくわかります。
4本すべてをセットで交換して一件落着 ・・・ とはいきません。
交換するインジェクターのデータをDME (エンジンコントロールユニット) に書き込みする必要があります。

交換前と同じ条件で取ったデータですが、インジェクター交換後は不正回転値も問題ない値に落ち着きました。
もちろんエンジン警告灯の点滅や点灯もありません。

フォルトコードを消去し、再度一晩おいて症状が改善したことを確認します。
症状は改善し、再度フォルトコードが記憶されることもありませんでした。 その他のデータもOKです。
走行テストも問題なかったので、これで作業完了です。
輸入車は部品代が特に高額になりがちです。
ですので、たまにお客様からネットで購入した部品を持ち込んで良いかのお問い合わせをいただきます。
弊社ではお断りはしませんが、お勧めもいたしません。 優良部品を見つけるのにはそれなりのスキルや情報が必要だからです。
料金は安いけど品質は・・・ といった部品も多々あります。
どうしてもと仰るのであれば持ち込み部品でも対応いたしますが、一切ノークレームとさせていただいております。
また、技術料は通常よりも割増しにさせていただきます。
なんで? と聞かれることもありますが、レストランなどを想像してみてください。
食材を持ち込みして料理してもらえるでしょうか?
椅子やテーブルなどの設備、調味料や箸などの消耗品の料金はどうしますか?
整備工場も同じです。 部品売り上げや設備の償却なども考慮した上での技術料の設定となっています。
弊社では純正ではない社外品も、厳選した上で優良品をお勧めさせていただいております。
お客様のご理解のほどよろしくお願いいたします。
- 2020/08/15(土) 23:56:29|
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日々の慌しさに翻弄されていたら、いつの間にかもう8月です! 青森でも毎日暑い日が続いております。
忙しいのを言い訳に、ブログもすっかり放置状態でした。
猛威を振るっていたコロナも、落ち着いたと思ったら、第2波の襲来です。
誹謗中傷などで「 コロナよりも恐ろしいのは人間 」という状況が顕著になってきていますが、他人には優しくしたいものです。
汝の隣人を愛せよ!の精神でこれからも頑張っていこうと思います。
ポルシェ・ボクスター (986) がエンジン不調で入庫です。
入庫時はメチャメチャ調子が悪く、まともにアイドリングもできませんでした。
まあ、そんな状況なので整備工場に入庫になるわけなんですが・・・
アイドリングしないので、ライブデータの解析などもできません。 なので、まずはできることからコツコツと検査していきます。
フォルトコードを点検すると「 エアマスMAFセンサ 」と不明なメーカーコードの2つが記憶されていました。
そして、すっかりおなじみになった相関コンプレッションです。

両バンク間で圧縮に差があるみたいです。 なんかイやな予感が・・・
プラグも点検可能なので目視点検をしますが、くすぶりがあるものの原因ではないと判断しました。
データを診るためにもどうにかアイドリングをさせたいので、いろいろ考えましたがエアマスのコネクタを外してみます。
かろうじてアイドリングをするようになりました。
実はこのボクスターは他社にかなり長い時間入庫していて、そこそこの部品は交換済みとなってます。
コネクタを外したエアマスも交換済みなので、最悪なパターンが頭をよぎります!
データを注意深く診ていくと、気になる箇所がいくつかあります。


この時の排気ガスのラムダ値は1.50です。 排気ガス値、O2センサの値はかなり希薄なのですが噴射時間は5msもあります。
これは明らかにおかしいです。 ちなみにバンク1のカムポジションもおかしいですよね。
エンジン本体 (バルブタイミングの狂い) の可能性も考えられますが、エアの吸い込みの可能性も高いです。
エンジン本体の検査はエンジンの脱着が必要なので、とりあえずエアの吸い込みを検査していくと・・・
怪しい箇所を発見しました! そこを取り外して点検、異常がなかったので取り付け直しをします。
はい、直りました! 気になっていた異音も全くしなくなりました。
ライブデータの気になっていた箇所も全て問題ない値になり、排気ガスのラムダ値も1.07までになりました。


今回はエアの吸い込みによる超希薄燃焼が原因でした。 わかってしまえばなんてことないトラブルですね!
自動車は多数のセンサやアクチュエーターが複雑な制御の下で運転されています。
システムを理解すること、整備士としてのセンサ感度を上げることが必要不可欠なんだと改めて思いました。
今後も整備士としての感度を落とすことなく、直せる整備士を目指して日々精進していきたいと思います。
- 2020/08/04(火) 22:23:00|
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