あっという間に年末です(笑)
そして今日はクリスマスイブ! 良い子のみんなにはきっとサンタさんがプレゼントを運んでくれるはず。
もちろん私も良い子なので、今夜はデカい靴下をぶら下げて寝ることにします(笑)
スズキ・ソリオバンディット (MA36S) ハンドルが振動するとの整備依頼です。
この車は今年の7月に弊社にて新車を納車させていただいたものです。
お客様から話をお聞きすると
・60km/hから80km/hくらいでハンドルがプルプル振動する
・アクセルを急に踏み込んだ時も症状が出る
・ここ1ヶ月くらいで急に症状が出始めた
時期的にスタッドレスタイヤに交換する時期だったので、新しいスタッドレスタイヤのバランスの狂いじゃないかと思いました。
そのことをお客様に確認すると、 「 スタッドレスタイヤに交換する少し前から 」 とのこと。
とりあえず車をお預かりして診断を始めます。
テスト走行をしてみると、ハンドルの振動は 「 シミー 」 や 「 フラッター 」 と言うより、 「 シェイク 」 に近い感じです。
一般道は制限速度の問題があるので、高速道路へ。 速度を上げていくと症状もわかりやすくなっていきます。
また、振動自体はメチャメチャ小さいことがわかりました。 表現的にはマッサージ器を握っているって感じでしょうか!?
ただ、振動が小さいと言っても、走行中ずーっとマッサージ器を握っているような状態は不快ですよね?
症状の確認ができたので、まずは振動の原因を探っていきます。
当たり前の話ですが、走行中はハンドルを握っているのでハンドルに振動を感じます。
他にも振動している箇所がないかを探ると、ドアやシート、フロアパネルなんかも振動しています。
この時点で、ボディ振動が握ったハンドルに症状として出てきていることがわかりました。
振動の発生源を探っていくと、どうやらプロペラシャフトの振動がサポートを伝わってボディ振動になっているようです。
不具合の原因はプロペラシャフトだと判断し、新車保証があることなので保証で直すことにしディーラーへ!
今までの経緯などを伝えて、車をディーラーに預けます。
車を預けて数日、ディーラから連絡があり私に驚愕の事実が告げられます・・・
「 振動の原因は、防錆塗装をした際のプロペラシャフトの塗装ムラによるアンバランスです 」 と!

いやいや、それが原因なら納車直後からダメでしょ。 だって、新車納車時に防錆塗装してから納車してるんですから。
そのことを担当者にツッコんでみるも、 「 お客様が気が付かなかったんでしょう 」 と驚きの珍回答が(笑)
これ以上の会話は無駄だと判断し(笑)
・塗装ムラを無くするように再塗装する
・それでも症状が改善しない時にはプロペラシャフトASSYを保証にて交換する
という約束を取り付けて帰社します。
私の中ではプロペラシャフトのジョイントの不良だと思っていたので、約束外ですが検証作業へ。

一番振動を感じ易いと思われる後席足元に振動計をセッティング!
本来ならカーペットを捲ってセットしますが、今回は大凡でいいのでこんな感じで。
あとは振動計が動かないようにテープでしっかりと固定して、波形測定しながらテスト走行します。
約80km/hで走行中に出た振動をオシロスコープで記録するとこんな感じ。

ディーラーとの約束通り、プロペラシャフトに再塗装後に記録した80km/h時の振動波形はこんな感じ。

ちなみに振動の出ないアイドリングでの停車中はコチラ

再塗装の前後で比較してみても、ほぼ同じ約100Hzの振動周波数です。
プロペラシャフトの1秒あたりの回転数は
( 車速 X 1000 X 最終減速比 )/ ( 2π X タイヤ半径 X 3600 )なので、諸元表で最終減速比を調べ、タイヤの半径を測定し、式に数値を入力します。
すると
( 80 X 1000 X 3.757 ) / ( 2 X 3.14 X 0.29 X 3600 ) = 45.843で、約46Hzになります。
アンバランスの振動周波数はプロペラシャフトの一次成分( プロペラシャフトの回転数と同じ )なので、約46Hzとなります。
一方、ジョイント角による振動強制力はプロペラシャフトの二次成分( プロペラシャフトの回転数の2倍 )なので、約92Hzです。
と言うことは、今回の振動の原因はジョイントの不良です。
防錆処理の塗装ムラによるアンバランスが原因だなんて濡れ衣もいいとこです。
早速ディーラーに連絡を入れ、車を引き取ってもらいます。
約束通り保証でプロペラシャフトASSYの交換をしてもらい、テスト走行をして症状が改善されたことを確認して整備完了です。
私が 「 メカトロクラブみちのく 」 に入会した時、当時の会長だった故佐々良会長に言われた言葉が思い出されます。
「 須藤君、物事には全て理屈や理由がある 」正に 「 目から鱗 」でした。
この言葉が無かったら、 「 メカトロクラブみちのく 」 に参加しなかったら、今の自分や弊社は無かったと思います。
経験や勘のみに頼ることなく、キチンとしたデータや裏付けを持った仕事をする。
これが弊社のこれからも変わることのない自動車整備に対する姿勢です!
今日はクリスマス・イブ
みなさまに素敵な出来事がおきますように・・・
Merry Christmas!
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- 2016/12/24(土) 17:03:09|
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師走です! 師走!
ブログの更新ができないくらい慌しい日々を送っていたら、いつの間にか広告が出ていました(笑)
今年も残すところあと僅か! 皆様今年はどんな1年だったでしょうか?
残り少ない2016年、皆様にとって良い1年で終われますように・・・
ダイムラー社とスウオッチ社から生まれた 「 スマート 」 、チョットお洒落なシティコミューターです。
このスマートの運転席側のウインドウが少し開いた状態からウンともスンともしなくなったとのことで入庫しました。
早速故障診断にかかります。 と言ってもこのスマート、ドアパネルが樹脂製で容易に外して中を見ることができません。
なるべくリスクを避けて診断していきます。 すると、モーターは動いているのにウインドウが動かないことがわかりました。
この時点で樹脂製のパネルは交換決定です。 パネルにヒビが入っているので、ほぼ確実に割れます!
「 YouTube 」 なんかを見ると、外人のお兄さんが魔法のような華麗さでパネルを外していますが、まず無理です(笑)
アウターパネルを外すとこうなります。

真ん中の赤丸部分が俗に言う 「 ウインドウレギュレータ-」 です。
アップにするとこんな感じです。

ねっ、見事に割れてますよね!? この 「 パワーウインドウレギュレータ-」 を交換すれば一件落着です・・・
がっ、そんなに簡単じゃないんです(笑)
「 パワーウインドウレギュレータ-」 を外すためには、インナートリムも外さなければなりません。

ご覧のようにインナートリムの取り付けビスは、アウターパネルを外さないと出てこないんです。
で、インナートリムも外すと、こうなります。

ごついフレームだけになり、中が丸見え状態です(笑)
こんな感じで 「 パワーウインドウレギュレータ-」 を交換しますが、今回は一緒に 「 パワーウインドウモータ-」 も交換します。
整備完了後直ぐにモーターが壊れたりしたらシャレにならないですから。

新旧見比べると一目瞭然ですね。
あとは鈑金屋さんに外注した塗装済みの新品のアウターパネルを取り付けて完了です。
さすがに新品のアウタ-パネルです。 メチャメチャ簡単に取り付けできます。
スマートにお乗りの方はウインドウを動かさないことをお勧めします(笑)
- 2016/12/23(金) 22:02:17|
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