青森も3月になり、すっかり春の陽気です!
これから桜の季節になり、穏やかで過ごしやすい日々がもうそこまで来ています。
私事ですがうちの長男も無事に進級が決まり、スーツを買ってやりながらデカくなったなぁと感慨に耽りました(笑)
ニッサン・マーチ (BNK12) エンジン警告灯が点灯するとことで入庫です。
このマーチのエンジンはCR14DEで、初期の頃はエンジンオイルの規定量が3Lになっていました。
その後、エンジンオイルの規定量が知らないうちにサービスデータでも3.5Lになっていた車です(笑)
こちらが初期のオイルレベルゲージ

こちらが対策後のオイルレベルゲージ

同じエンジンなのにオイルレベルゲージの長さ (オイル量 ) がこんなに違います!

ちなみに、対策部品はオイルレベルゲージではなく、ゲージガイドチューブです(笑)
初期の頃のレベルゲージが付いている車は、エンジンオイルの量にお気をつけ下さい!
なんでこんな話をするかと言うと、今回のトラブルの原因はエンジンオイルにあるからだと推測されるからです。
この車も約7年前に弊社で中古車販売時に対策品のレベルゲージに交換済みの車でした。
ただし、新車時から約10年は他社にてメンテナンスされていたので、その頃のメンテナンス状況は不明です。
今回、警告灯点灯の原因となったフォルトコードは「 P0340 PHASE信号系統異常 」と「 P1110 VTC駆動系統 」でした。
可変バルブタイミングシステム (インテークカムシャフトのバルブタイミングを変える) のトラブルです。
エンジンコントロールユニッットの目標値と実測値の間に一定以上のズレがあるとこのコードがメモリーされます。
基本にそって診断・検査を行っていくと、VTCコントロールバルブが固着していました。

このバルブでインテークカムのVTCアクチュエーターの油圧を変化させ進角・遅角をコントロールしています。
なので、固着するとVTCアクチュエーターを制御できなくなります。 ここを正常にしないと先には進めないので交換します。
また、このエンジンの故障事例として多いのは、タイミングチェーンの伸びです。
このタイミングチェーンの伸びがエンジンオイルの量やエンジンオイルのメンテナンス状況によって影響を受けます。
なるべく診断・検査は手間を掛けずに正確に行いたいので、オシロスコープの出番です。

上のCH1 (黒) が「 PHASE (カム) 信号 」で、下のCH2 (赤) が「 POS (クランク) 信号 」です。
POS信号のリファレンスの立下りよりも、PHASE信号の立上がりが遅れています。 残念ながらタイミングチェーンの伸びです。
実際にタイミングチェーンを外して、新品との長さを比較してみます。

みごとに?伸びています!
タイミングチェーン類を交換して、再度オシロスコープにて信号波形を確認します。

今度はPOS信号のリファレンスの立下りよりも、PHASE信号の立上がりが進んでいます。
タイミングチェーンの交換前後の信号の様子を比較するとこうなります。 (上が交換後で、下が交換前)

時間にして約2.5ms交換前が遅れているのがわかります。 この遅れ分がタイミングチェーンの伸びた分になります。
もともとエンジン警告灯が点灯する以外は特に不調もなかったので、予想外の大修理になってしまいました。
ただし、このまま乗り続けていたらエンジンストールや不始動、エンジンの異音なんかの症状がでたと思いますが・・・
最近の車は制御系に多くのシステムが組み込まれています。
また、制御も緻密になり、不調などの症状はなくても閾値を超えただけで警告灯を点灯させます。
これからの自動車整備はオシロスコープなどの測定機器が不可欠だと思います。
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- 2019/03/04(月) 15:45:33|
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