今日は朝から激しく雨が降っていますが、どうやら東北南部まで梅雨入りしたみたいですね。
昨日の30℃を超える暑さから、気温が一気に下がりました。
年のせいか、最近気温の変化に上手に順応できません。(笑)
BMW・325i (E90) が朝一の冷間始動時だけエンジンが振れるとのことで入庫です。
問診時に得た情報だと症状が出るのは朝一の冷間始動時だけ、約5分間エンジンがブルンブルン振れているとのことでした。
また、症状が収まるとその後は症状が出ずに、5、6時間のエンジン停止だと症状は出ないそうです。
症状が収まってから走行しても、走行には特に問題がないとのことでした。
診断・検査が可能な時間は約5分間、長期戦の予感がします。
エンジン始動前に、様々な機器をセットして準備をしておきます。 なんたって5分間が勝負ですから。
まずはごく一部でブームとなっている「 相関コンプレッション 」から検査します。
様々な補正や制御の介入はありますが、基本的にガソリンエンジンの肝は「 良い圧縮 ・ 良い点火 ・ 良い混合気 」です!

どうやらコンプレッションにバラツキはなく、特に問題はないみたいです。
症状が出ているか確認するためにエンジンを始動しすると、確かにエンジンが振れているのが確認できます。
今度は点火波形を検査していきますが、早くしないと症状が収まってしまうので急ぎます。

俗に言う「 マルチスパーク 」っていうヤツですね。
点火波形を見る限り点火系の問題ではなさそうです。
となると、残すは「 良い混合気 」ですが、症状が出ていないので判断は難しいです。
なので、とりあえず走行テストを行います。
お客様のお話だと、症状が収まった後 (暖気後) だと走行に問題はないとのことでした。
データモニタを行いながら走行テストをすると、確かに走行には問題なさそうです。
が、気になる点が!
このN53エンジンは「 直噴 」といわれる燃焼室内に直接燃料を噴射するタイプで、燃焼状態の切り替えを行っています。
燃焼状態は「 均一 (ストイキ) 」 、 「 層状 (希薄) 」 、 「 中間 」といった具合に分けられます。
今回は一向に「 均一 (ストイキ) 」 から切り替わりません。

様々なデータ、今までの経験と情報からインジェクターのつまりが疑われます。
処置を施して再度走行テストを行うと、今度は燃焼状態が運転状況に応じて切り替わるようになりました。

これで始動時の不具合も直れば良いのですが・・・
翌日、またエンジンを始動してみます。 振れは小さくなりましたがエンジン回転数が若干上下して落ち着きません。
処置の効果はある程度はあったようですが、完全復活とはいかないようです。
今までの診断・検査結果から不具合の可能性としては、インジェクターの後垂れが考えられます。
翌日のために準備をして、また一晩エンジンを始動せずに放置します。
今回の検査では気筒内のHC濃度を測定します。 推測通りであれば気筒内にHC成分が検出されるはずです。

やはり推測通りインジェクターから後垂れしているようです。
インジェクター交換で見積もりを作成しますが、インジェクター1本の部品代が ¥54,000(税別) です!
お客様と相談の結果、今回は様子をみることにして交換作業は見送ることとなりました。
症状が多少改善しそんなに酷くないこと、交換作業がかなり高額になることを考えると「 あり 」だと思います。
最近直噴のインジェクターに起因するトラブルが多くなってきたように思います。
ちゃんとした診断・検査を行わないと、高額な部品を交換したけど直らないってことにもなりかねません。
また、交換してみないとわからないということで、高額な交換作業を行わなければならないかもしれません。
診断・検査によって、エンジンの3要素の何がいけないかをしっかりと見極める必要があると思います。
弊社では診断・検査料は頂戴いたしますが、しっかりとした診断・検査を行わさせていただきます!
気になることがございましたらお気軽にお問い合わせください。
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- 2020/06/11(木) 20:06:26|
- 自動車整備
-
| トラックバック:0
-
| コメント:4
お世話になってます。直噴では、かなり悩まされました。。診断機で、切り替え領域も判断できるのですね。エンジンの3要素を、相関コンブ、点火波形、診断機、排ガステスターでの診断、素晴らしいですね。プラグ穴からのHC測定は私も使いました。あと、プラグ穴からのぞきました。浅田先生に、ファイバースコープ使えと言われそうです。笑。
- 2020/06/12(金) 08:02:08 |
- URL |
- 佐藤オヤジ #c4qzEyZQ
- [ 編集 ]
佐藤オヤジ 様
コメントありがとうございます。
最近、直噴のトラブルが増えてきたように思います。
直噴は燃圧が高いこと、容易に脱着できないことなどで判断が難しいですね。
シリンダ-内をスコープで見ましたが、目視は厳しかったです。
燃圧の下がり具合からいっても、少ししか漏れてないと思います。
- 2020/06/12(金) 13:19:40 |
- URL |
- 須藤ヂャイアント商会 #-
- [ 編集 ]
t34hayabusa 様
コメントありがとうございます。
現在私が所属する自動車整備技術集団「メカトロクラブみちのく」に入会した時に当時の会長に言われました。
車のお医者さんになるなら、本当のお医者さんのように診断・検査をしなさい!
お腹が痛いと病院に行って、検査もせずにじゃあとりあえず開腹手術しましょうと言われたら嫌でしょ?と・・・
そんな病院はないけど、そんな整備工場はいっぱいあるよ(笑)
その言葉が今の自分の根っこだと思います。
もちろんお客様のご要望にはできる限り沿うようにはしますが、基本スタンスはまずは診断です。
戯言かもしれませんが、本気で「車のお医者さん」を目指しております!
- 2020/06/12(金) 20:21:01 |
- URL |
- 須藤ヂャイアント商会 #-
- [ 編集 ]